スティーブン・R・コヴィーの名著『7つの習慣』では、「価値観（Values）」と「原則（Principles）」は異なるものとされています。これらの違いを理解し、日々の選択や行動に活かすことで、より充実した人生を送ることができます。
価値観（Values）と原則（Principles）の違い
価値観とは、個人や組織が大切にする信念や基準のことです。人によって異なり、文化や環境、経験によって形成されます。例えば、「家族を大切にする」「仕事で成功したい」「自由を重視する」など、何を重要視するかは人それぞれ異なります。価値観は柔軟であり、時代や状況によって変化することがあります。しかし、個人の価値観だけに従って行動すると、時には短期的な利益や感情に流され、長期的な成功や幸福につながらないこともあります。
一方、原則とは、普遍的で変わらない真理や法則のことを指します。どの時代、どの文化でも通じる客観的なものであり、変わることはありません。例えば、「誠実」「正直」「責任」「尊重」「信頼」などが原則にあたります。
具体的な原則として、以下のようなものがあります。
- 誠実（Integrity）: どんな状況でも正直であり、倫理的な行動を取る。
- 責任（Responsibility）: 自分の行動や選択に責任を持ち、他者のせいにしない。
- 尊重（Respect）: 他人の価値や意見を尊重し、公正に接する。
- 努力（Hard Work）: 成功には継続的な努力が必要であり、簡単な道を選ばない。
- 謙虚さ（Humility）: 自分の未熟さを認め、常に学び続ける姿勢を持つ。
簡単に言うと、価値観は「好き・嫌い」「大切にしていること」であり、原則は「普遍的なルール」です。
価値観を原則に近づける重要性
価値観は個人の経験や環境によって形成され、時に感情や一時的な状況に左右されやすいものです。一方で、原則は普遍的で変わらないため、価値観を原則に近づけることで、長期的に正しい選択ができ、人生の軸が安定します。
例えば、「成功したい」という価値観を持っていたとしても、その手段が「他人を出し抜くこと」や「楽をすること」では、長期的な成功は望めません。しかし、「誠実」「努力」「信頼」といった原則に基づいた行動を選べば、持続的な成功と充実感を得ることができます。
また、人間関係においても、短期的な人気や評価を価値観の中心にすると、迎合や不誠実な対応を取ることが増える可能性があります。しかし、「信頼を築く」という原則を優先すれば、誠実な関係を築き、長期的に良好な人間関係を維持できるのです。
価値観と原則をどう人生の教訓とするか
価値観は変わるが、原則に基づいて生きることで安定する
価値観は個人の「パラダイム（ものの見方）」によって大きく変わるものです。しかし、パラダイムは固定されたものではなく、意識的に「パラダイムシフト」を行うことで、自分の価値観を原則に近づけることができます。
例えば、「お金が大事」という価値観だけに従うと、手段を選ばなくなることもあります。しかし、「正直であること」という原則を大切にすれば、信頼を得て長期的な成功につながります。
人生の決断を原則に基づいて行う
短期的な欲望や感情で決めるのではなく、「誠実さ」「責任」「尊重」といった原則に従うことで、後悔のない選択ができます。パラダイムシフトを行い、物事の本質を見極めることで、価値観のブレを防ぎます。
リーダーシップや人間関係に応用する
「人気を得る」ことを価値観にすると、相手に合わせすぎたり、偽ったりすることもあります。しかし、「信頼を築く」ことを原則とすれば、誠実な関係を築けます。パラダイムを見直し、相手に対してどのような価値を提供できるかを考えることで、より良い人間関係を築けるようになります。
環境が変わっても、原則を軸にすればブレない
仕事や人間関係が変わっても、「誠実」「努力」「思いやり」といった原則を持ち続ければ、どんな状況でも正しい方向に進めます。自分のパラダイムを意識し、原則に近づけることで、状況の変化に左右されずに安定した人生を送ることができます。
結論
価値観は人によって異なり、変化しやすいもの。一方、原則は普遍的なルールであり、それに基づいて生きることでブレない人生を築くことができます。原則を軸にして価値観を選び、それを人生の指針とすることが、成功や幸福につながる重要な教訓となるのです。
パラダイムシフトを意識し、自分の価値観を原則に近づけることで、環境や状況に左右されずに、より安定した人生を歩むことができます。
『7つの習慣』の考え方を取り入れ、日々の選択において「価値観」ではなく「原則」を基準にすることで、あなたの人生はより確かなものになるでしょう。
